私がクレジットカードのコールセンターで勤務していた時に毎日のように怒鳴ってかかってきてたお客さまからのお電話内容に「クレジットカードがATMに吸い込まれた」というのがありました。
そもそもの話しになるのですがATMというあの機械、条件次第で入れられたカードをそのまま吸い込む機能がついています。
そういう場面に遭遇した事のない方にはなんの事だかさっぱり分からないと思いますが、クレジットカードのコールセンターで電話を受けてる側になると稀なケースではなくなります。
では一体何が原因でクレジットカードがATMに吸い込まれるのでしょうか?私が長年クレジットカードのコールセンターで培った経験を元に原因と注意点を解説します。
理由その1:毎月の支払いを遅れがち、また延滞を続けている場合
私が実務経験の中で一番多い「クレジットカードがATMに吸い込まれる理由」がこれです。
指定日に口座振替が出来ず、延滞をされてるお客さまと言うのは少なからず少しだけ残ったキャッシング枠からお金を借りようとATMにカードを入れます。
そう言った事が毎月恒常的に繰り返されてるようなお客さまの場合、クレジットカード会社によっては単純にシステム的に利用停止とせずに「クレジットカードをATMに入れたら回収する」所もあります。
クレジットカード会社的には延滞を繰り返してるお客さまからクレジットカードをいきなり物理的に取り上げて強制的に連絡をしてもらうという狙いがあります。
それは延滞を毎月繰り返しているようなお客さまというのは、電話をしても全く連絡がつかない事が多いからです。
ですから、ただ単にシステム的に利用停止とせずにATMにクレジットカードを入れた途端に回収するようにしておき、本人が慌てて電話をかけてくるのを待っているわけです。
ちなみに延滞を繰り返してが理由でクレジットカードがATMの中に吸い込まれたお客さまというのは、その後クレジットカードは手元に戻ってもきませんし、再発行も当然ありません。
またそのクレジットカード会社内で社内ブラック扱いとなり、今後二度とそのクレジットカード会社の審査は通ることはありません。
理由その2:盗難や紛失の届けが出ている
盗難や紛失の届けが出ているクレジットカードをATMに入れると、これも当然ですが、ATMの中に吸い込まれます。
またクレジットカード会社によっては盗難届けが出ている場合はATMの中に吸い込まれるのと同時に警察へ通報されるシステムになっているケースも見られます。
これでクレジットカードを盗んだり、拾ったクレジットカードを勝手に使おうとしてATMにクレジットカードが吸い込まれる理由は分かると思います。
しかし実は盗難や紛失の届けが出ているクレジットカードでATMの中に吸い込まれて困ったと電話をしてこられるのはご本人の場合が多いのです。
これはどういう事かというと、盗難や紛失の届けを出した後に自分の勘違いや、後から探して見つけた場合に、きちんとクレジットカード会社にその旨を連絡してこない方が少なからずいるわけです。
のんびり屋さんが多いということでしょうか、大事な事を連絡してこない方が結構な割合でいて、しかもクレジットカードがATMの中に吸い込まれて出てこないので、怒鳴って連絡をしてくる人もチラホラおりました。
理由その3:システムエラー
理由1に続き、実業務で2番目に多い「クレジットカードがATMに吸い込まれる理由」がこれです。
これはATMの機械の故障やクレジットカード会社側のミスできちんと支払をしてるお客さまなのに重延滞してるお客さまと同じ処理をしてしまいクレジットカードを誤って回収してしまうケースです。
この場合、お客さまには何のミスもありませんので、一方的にクレジットカード会社が悪く、しかも時間帯によってはクレジットカードの返却に時間がかかる場合があるので、かなりのハードクレームとなります。
延滞もしてないのに突然ATMにクレジットカードが吸い込まれたら、慌てず、まずこれを疑いましょう、ただし、コールセンターへ怒鳴り込まないようにお願いします。
理由その4:悪意を持った第三者の行為
悪意を持った第三者の行為と言われても全く分からないと思いますが、これは日本の話しではなく、海外のATMを利用した時に起こる話しです。
実は海外のATMの中にはその設置者の関係者の中に悪意を持った人がおり、一旦クレジットカードを吸いこませてその情報を抜き取る、いわゆるスキミングをしている場合があります。
中にはクレジットカードを1晩も2晩も利用者にミスがないのに返さず、その間にコピーをしているケースもあり、そうしてスキミングをしたクレジットカードで不正利用を働くわけです。
この事から海外のATMで理由もなく短時間でもATMの中にクレジットカードが吸い込まれた方は必ず利用しているクレジットカード会社に連絡を入れて下さい。
そうしないと万が一スキミングにあった際に、なんで海外のATMの中に吸い込まれた事を言わなかったのかと問い詰めてくるクレジットカード会社もあるので注意が必要です。
理由その5 クレジットカードの返却の取り忘れ
これも日本の話しではありません、海外の話しですが、笑えない話しです。
日本のATMではクレジットカードを入れてカードの取り忘れがあると大方、激しい警告音で取り忘れを教えてくれて、それでもカードを受け取らないと、そのカードを一旦ATMの中に回収する機能がついています。
この場合はクレジットカード会社やATMに備え付けの電話で連絡をしてもらうと、現地に警備員が急行して身分確認の元に返却してくれたりします。
しかし海外のATMの中、特に南米のATMでは取り忘れが起こると、そのままATMに吸い込んで、中に設置してある裁断機でクレジットカードを木っ端微塵に裁断してしまう事があります。
理由をあえて聞いたことはありませんが、南米というお国柄なんでしょうか、受け取りのミスをしたら裁断、凄いですよね。
また、クレジットカードを裁断されてしまったらの対応は各クレジットカード会社によって対応は異なるのですが、現地にデスクがある場合はそこで再発行したり、現地デスクがない場合は現地デスクのある国にいくか、帰国して再発行を受けるかになります。
以上、私が長年クレジットカードのコールセンターの実業務で見てきた「クレジットカードがATMに吸い込まれる理由」でした。
繰り返しになりますが、延滞でクレジットカードを取り上げられるのは仕方ないですが、海外のATMで吸い込まれた場合には必ず利用したクレジットカード会社にその旨を連絡しましょう。